僕はずっと、高校生のころから納得のいくラケットが見つからないでいました。
打てなくはないけれど違和感があったのです。
しかし、上手い人が同じラケットを使っているのを見ると「きっと自分が下手なんだろう」と思いました。(あながち間違ってはいないけれど)
打てない自分にイライラしてたりもしました。
そんな僕が本当になんとなく、「これはしんどいだろうな」と思った仕様のラケットを使ってみた途端。
思い通りにボールが打てたのです。
どんなに振ってもちゃんと収まってくれる。
「まさか!!」と思ったのですが後日そのラケットを使ってもやはり調子がいい。
自分のラケット選びの基準が全く間違っていたと気づいた瞬間でした。
もしかしたら、いろんなラケットを試しては買い替えを繰り返してる方はこれまでのラケットを選ぶ基準が合っていないのかも知れません。
これまで使ったラケットとスタイル
これはあくまで僕の経験での話なので、皆さまに当てはまるかと言われたら、そうではないのですが、一例として参考にしていただければと思います。
僕は周りから「スピンがよくかかってるねー。エンドライン際でよく落ちるわー」なんて頻繁におだてられてたもんですから、自分をグリグリのスピンプレイヤーだと思い込んでいました。
これまで使ってきて記憶に残っているラケットは
- ブリヂストン プロビーム mid Plus
かなり気に入っていました。この頃は高校生だったかなー…ラケットチューンにもハマっていて、かなりの鉛テープを貼っていました。93インチのラケットなんじゃないかというようなウェイトとバランスで、重いけどグリップヘビーだから振り抜きが良かったです。
- Wilson k-six one95
「あまりにもチューンしすぎたラケットを使ってたら下手になる」といった内容のネット記事を見かけゾッとした僕は、プロビームを手放しラケット探しの旅に出たのです。全てはここが始まり。このラケットは僕にはパワーがありすぎるというか、プロビームよりも球離れが早くてとても気持ち悪かったのを覚えています。
- デュアルコイル(詳細は忘れました)
1年ほどsix oneを使ったものの速い球離れに慣れることができずブリヂストンに戻ります。しかしプロビームとは違う傾向でよく飛びました。これも「打てばアウトする」感覚になってしまい、まるでダメでした。
- ブリヂストンXブレード(310or295)
どのウェイトだったかはっきり覚えてないません。コントロールはとてもよかったのですが、これまで弾くようなパワーのあるラケットを使っていたのでボールスピードが一気に下がった気がして納得できませんでした。今思えばただの筋力不足だったのかも知れません。
- Wilson blade 黒銀 16×19
パワーとしなりなら、ウィルソンのbladeはどうだ!?とbladeの名前に飛びつきました。しかし。パワーはあるがやっぱり硬い。あと妙にボールが持ち上がる。
この後も色々(スリクソン2.0/head speed mp/prince tour100t xr/ラジカル/ピュアアエロなど) 試したのですが、それだけで記事がいっぱいになりそうなのでカットします(笑)
以上から察するにどう考えても僕は柔らかいラケットが好き。飛ばないけど真で食った時のパワーとスピン能力があるラケットが好み。な訳です。
ですが。
時代はそうではなかった!!!(TдT)
ピュアドライブに始まった、ラケットにある程度パワーがある「ラウンド形状・黄金スペック」が爆発的に人気が出て、誰もが「バボラのラケットは魔法のようだ。最高だ」と言っていました。(僕の周辺では)
それを聞いた僕はやはりある程度硬いフレームのラケットがすごいのだ。柔らかいラケットは時代遅れなのかも知れない。と思いました。(実際、気に入ってたブリヂストンも硬いラケットを作り始めたと聞いてたのでなおさら)
「スピードテニスと言われる昨今では硬いフレームで弾くように打ち合うべきなのだろう」と納得したつもりでいました。
そして次にはWilsonの目の荒いラケット(sラけ)が出て、スピンは目の荒いラケットが断然かかると発表。
もともと下調べが好きな僕はそんな情報がどんどん頭に入ってくるのです。
じゃあ「目が荒くて、軽いけど極バランスのお陰で打ち負けず振り抜きの良いheadのrevproすごいんじゃないか!」と270gのラジカルを使ったりしました。(実際打ち負けにくかったし疲れなくて良かった)
しかしイマイチ納得はいかず。
その次はSPEED MPを経て、「スピンといえばピュアアエロ だろう!」と使い始めました。
ピュアアエロは最初は本当に良かったです!これは確かにすごいと。
しかし、テニスの回数が増え、自分に筋力がついてくると「飛びすぎる」のです。
飛ぶからと言ってガットを硬くすると嫌いな板のような感触になる。
振り方を変えてもなんだか窮屈で気持ち悪い。
「本当に納得のいくラケットなんてないんだ。」
「このラケットにあった打ち方を身につけないといけないのだ」
そう思った時、ふっと。
なんとなく弟のラケットを借りて使ってみたのです。
そこにあったから使ってみたけれど、そうでもなければ絶対に使わないラケット。
Wilson blade 18×20(2015)だったのです。
しかもグリップヘビーにチューンされていてあとで測ったらストリング込みでウェイトは345g。
ストリングを除けば
- 98インチ
- ウェイト325g
- 18×20
もし店でラケットを選ぶなら「こんなハードスペックなラケット絶対使えない。」そう思って手を出さなかったでしょう。
しかし、手に取った瞬間からどうにもバランスがいい。とてもフィットしている感覚があるのです。
打ち始めた瞬間、これだったのだと確信しました。
しなり、ボールを捕まえて、打ち出す。しっかり回転もかかる。
コースだって打ち分けが簡単。
振っても振っても収まる。
弾く系の硬いラケットでは全くできなかったドロップショットもできてしまう。
球速も上がったというか、伸びが出た。
ラケットが手の延長のようにしっかりついてきてくれる。
驚くばかりでした。
ちなみにそのラケットのバランスはこんな感じです

頭でっかちに先入観に囚われてはいけない
僕の頭の中にあったことといえば
- 18×20じゃ回転はかかりにくい。フラットプレイヤー向け。
- チューンし過ぎたラケットでは打てない
- 硬いフレームを使いこなしてこそ強くなれる
- 目が荒い方が回転がかかる。
- 自分がスピンプレイヤー
ということです。
なのでガットは16×19で黄金スペックに近いもので、打感は柔らかくスピンのかかるラケットをさがしていたのです。
しかし現実には
- 18×20でも十分回転はかかるし、むしろいい球が打てる。コントロールも良い。
- チューンし過ぎとはそもそも何をもってなのか。打てるのならそれでいい。
- 柔らかくてもいい。むしろプロ用の別注ラケットなどはかなり柔らかいものが多い。
- 目が荒くても打ち方によっては回転も大してかからない
ということでした。
しかも大きな誤解があり、僕は確かにスピンが多いと思います。
けれどあたりがかなり分厚いスピンプレイヤーだったのです。
僕の頭の中でスピンプレイヤーといえば少し薄めのあたりを想像していて、自分のスイングもかえたりしたけど、スピンが磨かれるどころか打ちにくくなるばかり。
むしろ真後ろからボールを叩き潰してプロネーションするタイプのスピンが得意だったのです。
このラケットでは心置きなくボールを叩くことができたし、それが僕の体にあっている動きでした。
さまざまな誤解や先入観で自分に合わないラケットをたくさん使ってきたのです。
あなたの考えは正しいでしょうか?
というわけで、僕の今のラケット選択の基準は、柔らかくて叩き潰してスピンをかけるのに良い程度の飛び。真で食った時のパワー。
チューンする余裕がある程度のウェイトです。
「自分はこんなプレーがしたいから情報ではこんなラケットが合うはずだ」「いつまでも古いタイプのラケットではダメだ」と思い込んでラケット探しをすると、いつまでもゴールにたどり着けないこともあります。
実際、今引退で話題のアンディ・マレーは10年以上同じラケットをペイントを変えて使い続けてるという話も。
昔から体に馴染んでいるラケットのバランスや飛び具合、感触(タッチ)はなかなか抜けません。
変なこだわりを捨て、思い切って違う系統のラケットを選ぶことで最高の出会いがあるかも知れません(ノ▽〃)
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