【完全ボックス形状】Wilson Ultra tour 97 インプレ/レビュー

My new gear…ってのは音楽やってる人が買った機材を紹介するときの常套句ですが、今回買ったのはこちら。

UltraならざるUltraと言われている
Ultra tour 97(ウルトラ ツアー 97)です。

個人的に大注目のモールド(H19と同じとか)で、情報を探し回ったのですが驚くほどレビュー、インプレが出てこない!笑

それはおそらく数量限定で、国内には限られた本数しかないからだと思うのですが、それ以上にやっぱりスペックを見ると買おうと思う方も少ないのかなーと思ったり……

情報が少なすぎて買うか悩みましたが、この度2本購入しましたので詳しくレビューを書こうと思います。

よろしくお願いいたします^^

加筆しようと思ったらすさまじい値上がりをしてます!海外だと普通の値段なのでストリングパターンの違いとかはいろいろあるかもしれませんが、この完全BOXのラケットは海外では普通に売られているのものを限定的に輸入しているだけなんでしょうか…


スペック

フェイス面積: 97sq.inch
レングス: 27.0inch
ウェイト: 305g
バランス: 31.5cm
フレーム厚: 20.0mm
グリップ・サイズ:G2, G3
ストリング・パターン:18×20
適正テンション: 50-60ポンド

数字だけ見ると、めちゃくちゃハードスペックと思われると思います。

スペックを見る限り、明らかに他のUltraシリーズがターゲットにしているプレイヤーとは違うターゲットを持ったラケットですね。

HFSTもない、パワーリブもない、カウンターヴェイルもないクラッシュゾーンもPWSもない。

ないない尽くしなうえに、フレーム形状はボックス。
ストリングパターンは18×20なこのラケット。

Wilsonの中で言えばBladeっぽいラケットではありますが、Bladeの一番ハードなスペックよりも数値上は少しハードなこのラケットがBladeユーザーの目にとまるかと言われると、そこまで求めてる人はいないんじゃないだろうかと思ったり。

(実際僕も、「Blade CVは硬めだけどこっちはどうかな?ちょっと試そう」と思って買ったのですが、前モデルのBladeでまあまあ満足しています。)

「日本ではあんまり売れそうにない」のが数量限定の理由ですかね……笑

1ヶ所気になったのが、ちょっと軽いことです。

こんなスペックだから310gとか315gとかあってもおかしくないと思うのですが、どういった考えからこの重さになっているのかがわかりません。

実測

せっかく2本買ったので計測してみたのですが、普通にちょっとばらつきがあります。

『メーカー数値』

ウェイト:305g
バランス:315mm

『実測値』

1本目
ウェイト:306g
バランス:313mm
2本目
ウェイト:309g
バランス:312mm

ん~。最近のラケットはばらつきは少なくなってると思ってたんですが、そうでもないようです。

結構違うなーと思ったら見たくなるのがグリップの内側ですね。
ラケットのバランスや重量はここで調整されてるとかされてないとか(・∀・)

えい。(エンドマーク取る)

シリコン!?

今どき詰まっているものと言ったらウレタン(むしろ最近のラケットはなんにも詰まってない)が多いので、ウレタンかなーと思ってたので驚きました。

あと、真ん中の黒いとこがすごく曲がってるのと、シリコンがぎっしり入ってない側がなんだか汚くてびっくりしました……笑

さて、もう1本は!?

『ウレタンと……何だこの黒いのは……』

と不思議に思ってつついていたらどうやら汚れだったようで黒いのが取れて普通にシリコンでした。なお、左側はウレタンのみのよう。

えらく雑だな……いいんでしょうか。

H19なの?どうやらコレは……

グリップ内を見た感じ、どうやらH19とはやっぱり違うんじゃないのかなと思いました。

(背景があまりに汚かったのでぼかしてます)

これはH22のキャップを外したところなんですが、仕上がりの美しさが違う……

本当に良いフレームならあんな雑な仕上げはしないと思うんですよねー。

「ひとまずウレタンを入れて、バランス調整のためにウレタンをほじってシリコン注入」という手順だったのでしょうか?

片方のシリコン内には半端にウレタンが浮いてたりするし、もう片方は片側だけウレタンをほじったように見える…

ま、H19打ったことないし、「これがH19と同じものを雑に仕上げたもの」か、「全くの別物」かとか、正直全然わからないんですけどね(ヾノ・∀・`)

打った感想

今回は2本あったので、1本は特にバランス調節とかはせずそのままで。

ガットは「このラケットを使われる方の定番的なセッティングはおそらくこんな感じだろう」と思い、テクニファイバーのシンセティックガットを40Pで張りました。

もう1本はバランス、ウェイとともに調節して、ストリング込で343gで320mm前後に仕上げました。こちらは縦ツアーバイトに横ナイロン、48Pです。

カスタマイズしてないラケットの感想を書いて、後からまとめてカスタマイズしたものとの差を書きます。

【ストローク】

最初の2,3球は続けてネットしました。

本当にボールが持ち上がりません!笑

しっかりボールを押し出してあげないといけません。

Bladeを使っていたとしても最初は少し戸惑うほど持ち上がりませんでした。

しかし、慣れてしまえば普通に打てます。

当て方さえわかれば、むしろこのスペックの割によく飛ぶなーと感じます。もちろんピュアドラに代表されるような弾く系のパワーのあるラケットに比べたら全く飛びませんが、その分コントロールは抜群です。

芯に当たればびくともしない安定感がありますので、左右のコントロールがしやすいのはもちろん、カウンター的なショットも安定感抜群です。

この安定感のおかげでベースラインからでもエース級のフラットを打つこともできます。(球威もあるのですが、コントロールがしやすいのでエースになりやすい)

これは18×20で小さめのフェイスのラケットでしか味わえない感触です。

また、Bladeと比較すると少し持ちすぎるかなというほどしなる感じがします。打感は柔らかいですが、思っていたより食いつく感じは控えめで、フェイスはBladeより硬くて、シャフト部分が柔らかいという感じかなーと予想できるような打感です。

実際そうなのかは知りません(笑)

この打感と自分の中のボールの飛び具合がかなりマッチしていて、長短のコントロールが非常にしやすかったです。

ドロップショットなんかも楽ちんです。

ただ、スピンの多いロブだけは少し練習が必要になりそうです^^;

スピンロブは練習が必要だと感じましたが、スピン系のショットが打てないラケットなのかというとそれは大きな誤解です。高さのコントロールが難しいですね。

今回ボールを受けてくれた人によると、

「ボールが頻繁に空中で曲がった」「バウンド時の変化が大きかった」「フラット系のショットは伸びがよく、返球時コントロールしにくい」

とのことでした。この辺はボールスピードが上がってることも理由としてあるのかもしれませんが、「空中での変化」や「バウンド時の変化」は打った側が見ててもわかるほどでした。

空中での変化はスイングの軸が傾いたときかなーと思うのですが、少し右に打ち出されたボールがストレートの位置まで曲がってバウンド時にキックしたり、まっすぐ飛んだかと思ったらバウンド時に右やら左やらに少し曲がることが多々ありました。他にも勢いよく頭の位置まで跳ね上がったりと、16×19のパターンのラケットではあまりないようなことが。

理由はわからないのですが飛びがある程度抑えられてるラケットなので遠慮なく振れる分回転もかかっているのかもしれません。

バックハンドスライスもこれがまたすごい。思ったところにすーっとのびていくし、面がぶれないからコントロールがしやすい。

思わず多用してしまいそうです。

様々な球を打つことができるので球威のあるフラット系ボールを混ぜながら、コントロールと球種も使い分けたり【技】で戦うラケットです。

が……ココまではべた褒めですが最後に一つ。

芯を大きく外したり、スイングできないくらい追いつめられたときは「これでもか」って言うぐらい飛びません(TдT)

このラケットはウェイトの割にトップライトで、かなり操作性や振り抜きがいいです。しかし、だからといって手で打ってしまったり、【技で戦う】といっても小手先でごまかそうとしたりすると、一切飛ばしてくれませんので要注意です。

ラケットが軽めなので無理矢理に手で打つこともできますが、芯で捉えられなかったとき衝撃がかなりくるのでなるべくしたくないですね。

ストロークの総評

少し長くなってしまったので、まとめるとこんな感じです。

  • 打感は柔らかく、飛びは抑えめでコントロールがしやすいラケット
  • 飛びが抑えめな分アウトする心配がなく安心して振り抜ける。またそのおかげでスピンや球威も上がる。
  • 高さのコントロールが少し難しかった。
  • どんなボールも追いついてそれなりにスイングできるようなフットワークが必要
  • やり方次第で球種が増える「技」で戦うラケット
  • ごまかしは効かない

【ボレー】

ボレーに関しても先程ストロークで述べたように長短のコントロールがとにかく楽です。特に短いボールが。

ラケット自体が飛ばしてくれるタイプではないので、逆にボールの勢いを殺すのはめちゃくちゃ楽。

ドロップボレーなんかじゃんじゃんできてしまいます。

ただ飛ばないので、長いボレーはそれなりに体を使わないとしょぼいボールが飛んでいきます。

あと、ストリングパターンの影響かフェイスサイズ等のラケット形状の影響か、芯で捉えても少し押されるのでいつもより気持ち厚めに握ってボレーをしていました。

これは、軽いのにバランスがトップライトであることも影響しているのかもしれません。

個人としてはこのラケットで戦うならボレー戦は長引かせたくないところです。

うっかり芯を外したら返ってくれませんからね……

【サーブ】

この日は肩の調子がいまいちで、最初の数球ほどしかしっかり打てませんでしたが、ひとことで言うと「サボらせてくれません!」

ちょっとでも気を抜こうものならネットにかかるか甘いサーブになるので、小細工や小手先を使わず、ちゃんと体を使ってあげる必要があります。

その分しっかり打てたときのボールのキレは抜群です。

どんな球種も共通してバウンド後の勢いがすごいです。

その上スライス系であればバウンド時にスッと横にきれたり、キックサーブだとかなり高く跳ねたりします。

ちなみにスライスとフラットはバウンド後もかなり低い弾道なのでこの高低差を活かした組み立ても面白いかもしれません。

ただ、本当にしんどい!

集中力のキープが!

ちょっと油断すればへっぽこサーブになるのでやられるし、かなり強靭なメンタルが必要です。

また、キックサーブを打ったときの変化量がかなりすごかったので、キックサーブだけでも確実に習得し、セカンドサーブに使いたいのですがスピンサーブやキックサーブが打ちづらい。

逆にスライスやフラットはまだ打ちやすいです。

サーブが1番慣れがいるかも知れません。

カスタマイズしたラケットと比較

やはりスピンが増えました。ボールスピードについてはガットの差もあるのかそこまでの差は感じませんでしたが、スピンは大きな違いが出ました。

変化量も大きく、よりボールがコートに収まります。

あと、芯を外してしまったときもある程度ラケットに重量があるおかげか、カスタマイズなしよりは飛んでくれます。

ボレーもより押されにくいので構えさえ早くできるのならばカスタマイズしたほうがいい感じでした。

ただしサーブについては別で、最後まで慣れる事ができませんでした。

少し研究が必要ですが、しっかりハマったときは豪快なサーブが行きます。

どフラットに打ったサーブが入った後そのままフェンスにあたって跳ね返ってコート外まで飛んでいったりするほどのパワーが有りました。

なんとか使いこなしたいものですが、ファーストの球威はともかくセカンド(スピン系サーブ)がしょぼくなりがちなので課題です。

また、ガットのテンションは48で飛び具合もスピン性も良かったのですが、少し硬く感じるのでメインをナイロンに変更してみるか、うんとテンションを落とすかしてみようと思います。

結論として腕の筋肉が丈夫そうな方ならもう少し重くしてもいいかもなと思うラケットです。

どんな人におすすめ?

  • フラット系の厚い当たりを多用する人
  • 黄金スペックや中厚系では飛びすぎる人
  • 軟式上がりの人
  • ボールを潰す、前に押し出す系の人
  • コントロールや球種で戦う玄人志向な人

逆にピュアドラや現在のこのラケット以外のUltraシリーズを使っている方にはあまりオススメではないかも…

もう少し様子見


Bladeに比べ球質がよくなってるように思えたのでもう少しカスタマイズラケットとアンカスタマイズラケットを打ち比べバランスやガットを検討しようと思います。

なにか新たな発見等あればご報告いたしますね^^

逆になにかこのラケットで気になることがあればお気軽にご質問ください!

2件のコメント

お返事遅くなりすみません!

ストリング込みで343gで320mmあたりです^^
若干トップライト(グリップヘビー)ではありますが、343gということを考えると、重量の割には少しヘッド寄りにバランスがあるなと感じるバランスです

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